少子高齢化による人口減少は、年金や介護といった社会問題の要因として話題にあがりますが、”増加し続ける空き家”も大きな社会問題の1つと考えられております。今回はその社会問題の1つである空き家を再生する事で、資産運用と社会貢献を同時に行える空き家投資について解説していきます。
日本が抱える問題
少子高齢化による人口減少
資本主義経済の成長は人口増加を前提として考えられております。そのため、少子高齢化による人口減少は様々問題を引き起こしており、その一つが空き家増加の問題です。
空き家問題
増加し続ける空き家
平成30年住宅・土地統計調査の結果、空き家数は848万9千戸と過去最多となり、全国の住宅の13.6%を占めていることが分かりました。
総務省統計局:平成30年住宅・土地統計調査 特別集計
え~!!
7戸に1つは空き家ってことですか。。。。
そうなんです!
1963年には2.5%だった空き家率が55年間で5倍まで増え、この勢いは止まることなく、野村総合研究所の予測値では2030年の空き家率は30%台にまで上がると言われております。
3戸に1戸が空き家~!!!
でも空き家が増える事で何が問題になるんですか?
- 建物劣化、雑草等による景観悪化
- 不衛生な状態が継続され悪臭が発生
- 不法侵入、不法占拠による犯罪リスク
空き家になると、人の管理が行われず、景観悪化や悪臭を引き起こし周辺地域への迷惑行為につながる事や、空き家が増える事で、犯罪行為の増加につながると言われております。
住宅弱者問題
家を借りられない人がいる
- 年齢(高齢者)
- 国籍(外国人)
- 社会的立場(障害者)
- 経済的立場(生活保護受給者)
- LGBT(性的少数者)
住宅弱者とは上記の理由で、大家さんから入居を断られてしまう人達の事を指します。
なぜ、大家さんは入居を断るんですかね!?
- 家賃滞納のリスクがある
- 家を綺麗に使ってくれない
- 孤独死による事故物件への懸念
他にも色々な理由があると思いますが、大家さんからすればなるべくトラブルになる要因を避けたいという思いがあるのだと思います。
空き家投資は社会貢献になる
投資家が空き家投資をする事で、空き家が減り、その空き家が再生されて住宅弱者に賃貸されれば、空き家問題、住宅弱者問題が解決される!
確かにこの投資は、社会が抱える問題を解決して貢献してますね!
空き家投資のメリット・デメリット
社会貢献につながり、高い利回りでの投資が可能になる空き家投資、本当にそんなにうまい話があるのか!?
メリット
- 初期費用を抑えられる
- 高い利回りが期待できる
- 節税効果が期待できる
- 社会貢献になる
デメリット
- 想定以上にリフォーム費用がかかってしまう
- 流動性が低くなるケースがある
- 資産価値が低い
- しっかりとした知識と経験が必要になる
空き家になった原因
- 高齢化による転居
- 所有者の死亡
- 住宅の供給過多 など
空き家になった要因は、物件によって異なる為、投資検討している物件がなぜ空き家になったかの要因を知る事と対策をする事が空き家投資成功のカギと言えます。
悪立地物件
- 駅やバス停から徒歩20分以上かかる物件
- 物件までの道のりの高低差が激しい物件
- 近所にスーパーやコンビニがない物件
ライフラインの未整備物件
電気・ガス・上下水道の供給設備及び排水のための施設がない物件
再建築不可物件
現在の家を解体して更地にしてしまうと、新しく家を建てられない物件
用途変更のできない都市計画制限を受けた物件
農業を営む人の為に、特別に建築を許可された、市街化調整区域にある農家住宅など、一般の人が購入して使用できない物件
空き家投資に失敗してしまう理由
- 高い金額で購入してしまう
- 良い物件を見極められない
- 協力してくれる仲間がいない
- 最低限投資に必要な現金がない
高い金額で購入してしまう
アットホームやSUUMOなどの大手サイトに掲載されている物件の金額なら大丈夫ですよね!?
サイトは大手ですが、そこに載っている金額(売値)は、売主さんが売りたい希望価格で、投資の適正価格ではありません。
大手なのに!?
ではフリマサイト大手のメルカリに出品されている商品の価格が全て適正価格でしょうか?
- 状態がかなり良いのに安い
- 人気商品で入手困難だから定価より高い
メルカリで販売されている商品を購入して、転売して利益をあげようと思ったら、値下げ交渉などして安く購入しないと、手数料や送料の経費を考えると赤字になってしまわないでしょうか?
なるほど。
購入金額はリフォーム等の経費、販売価格又は賃貸価格などから逆算して考えないといけないという事ですね!
良い物件を見極められない
これは賃貸の需要があるかですよね!
それに加えて下記のような事もしっかりリサーチする必要があります。
- 用途地域の確認
- 何か大きな欠陥はないか
- 地盤は問題ないか
- 周辺施設に何かトラブルはないか
協力してくれる仲間がいない
空き家投資はワンルーム投資と比べると、少額な資金で投資が出来るメリットがありますが、投資初心者には少しハードルが高い為、不動産会社、リフォーム業者、投資仲間などの協力者が必要です。
最低限投資に必要な現金がない
空き家投資の場合は、金融機関からの融資は受けられないのですか?
担保価値を認めらる物件や、個人の属性が良い事で、融資を受けれることもありますが、空き家投資の対象となる築古物件は、建物の評価はゼロに等しく、土地に対しての評価も低い事から、金融機関からの融資を受ける事は難しいと言われております。
最初は現金で低価格の物件を、低予算でリフォームをして、空き家投資家としての経験を積んでいけば、大家事業家としての評価で融資を受けられることもあります。
空き家投資の成功法
不動産投資の中でも空き家投資は発想の転換が必要な投資方法です。
一般的に好条件と言われている物件は価格も高く、利回りも悪くなりがちです。
空き家投資は低価格で、高い利回りを目指すわけなので、一般的な投資物件では選ばれることのない、悪条件の物件を選んで再生させる必要があります。
地域最安家賃である
他の大家さんが設定できないような、地域最安家賃を設定する。
社会貢献型である
他の大家さんが避けるような入居者に、物件を提供する。
利回り20%になる物件を選ぶ
地域最安家賃と社会貢献型を提供するためには、物件購入価格とリフォーム費用にお金をかけない。家賃からの逆算で利回り20%になるような物件を選ぶ。
空き家投資の始め方
やってみたいけど不安もあるな~
ズバリどうすればいいですか?
ズバリ答えは2択
- 空き家投資専門業会社のセミナーに参加して勉強する
- とにかく自分で勉強して少額から始める
私はセミナーがいいな!
参加費用はどれくらいですかね?
業者によっても違いますが、独り立ちするまでにかかる費用は大体50万円~200万円だと思います。
!!!!!
私にはハードルが高い。。。
自分で勉強するとしたらどのようにしてやればいいですか?
空き家投資を行う手順は下記の3つ
- 投資対象の空き家物件を探す
- なぜ空き家になったかを調査
- リフォーム費用を見積り、補助金が出るか調査
空き家物件の探し方
1.ポータルサイトの利用
国土交通省や地方自治体が運営する空き家専門のポータルサイトから空き家を探す。
2.地場の不動産会社に紹介してもらう
地場の不動産会社は、ポータルサイトには掲載されていないような、物件情報を持っている事があります。投資対象エリアの不動産会社を4~5件まわって、対象となる物件情報を紹介してもらえるように関係構築する。
空き家になった原因を調査
1.所有者の高齢化による転居
子供が独り立ちして、高齢化した所有者が死亡、又は老人ホームに入るケース。このケースの場合、子供は既に自分の家があることなどで、殆どのケースが空き家になりますが、自分の育った実家という思い入れがあったりすると、安い価格で購入する事が難しくなります。
2.親戚からの相続
空き家になる理由は1.(所有者の高齢化による転居)と同じですが、自分自身が育った実家とは違い、対象の不動産に思い入れがないケースの場合、安い価格で購入出来る可能性があります。
3.ライフラインが整理されていない
過疎化により、スーパーが閉店、バスが来なくなる、近くに病院がないなど、高齢者が住むには条件が厳しくて、空き家になるケースもあります。
空き家になる要因は様々ですが、その様々な問題を解決する事で、事業として成り立つか、しっかり事業計画を立てる必要があります。
低コストで再生可能か調査する
- リフォームをDIY(Do It Yourself)して失敗
- 業者に依頼したら予想以上に費用がかかってしまった
上記2つは、低予算で高利回りを目指すことでやってしまいがちな失敗事例です。
このような事を避ける為に、対象エリアの自治体で補助金が出るか、どの程度リフォームする必要があるのか、リフォーム費用の相場はどれくらいなのかを事前にしっかり把握して、再生可能かを判断する必要があります。
空き家再生は「自分が住む家」ではなく、「他人」それも、他の大家さんが敬遠するような入居者を対象とする訳なので、自分の価値観ではなく、賃借人の価値観にあわせてリフォームする事が成功のカギです。
まとめ
日本社会が抱える、空き家問題は、視点を変える事で、資産運用と社会貢献を同時に行える投資になります。
空き家投資は、低予算で、高利回りが望めるという事で最近注目されていますが、何も知らない投資初心者が手を出して簡単に成功出来るものではありません。
これは、全てのビジネスに共通して言える事ですが、エンドユーザー(入居者)の需要から、利回り計算など資金計画を立てる必要があります。
今後、人口が減っていく日本社会において、空き家投資!?と思う人がいると思いますが、どのビジネスも他人が考えない盲点にチャンスがあります。
空き家投資は”人がいる地域”という条件さえ満たせば、資産運用と社会貢献を同時に行う事が出来、高い利回りを生めます。
成功のカギは経験を積む事とリスク分散!!
3,000万円で一件の投資を行うよりも、300万円の投資案件から始めて、徐々に投資案件を増やしていく方が、空き家投資家としての成長が見込めます。先ずは手元にある現金で少額の案件から投資家デビューしてみてはいかがでしょうか。
コメント