変額保険は「やめたほうがいい」「リスクが高い」という意見もありますが、「やったほうがいい人」や「向いている人」「儲かる人」もいるのでしょうか?
変額保険はやめたほうがいいと言われるきっかけとなった苦情トラブルも紹介しながら、デメリットやリスクについて解説していきます。
そもそも、マイナス金利政策、ゼロ金利政策により、安定的な運用を可能にしていた日本国債の利回りが低下し、同じように低下したのが生命保険の運用に関係する予定利率。
そんな中、注目を浴びているのが変額保険なんです。
変額保険とは?
変額保険は、定額保険と比較すると違いがわかりやすいかもしれません。
変額保険(へんがくほけん)とは生命保険のうち、外国為替取引や投資信託の仕組みを取り入れ、死亡保険金額や解約返戻金、満期保険金の額が運用に応じて変動する投資型の生命保険商品をいう。
Wikipedia 変額保険
変額保険について詳しく知りたい方は、【わかりやすく解説】変額保険とは?「やめたほうがいい」「いらない」と言われてしまうトラブルやデメリットなど、まとめました!の記事にまとめていますので読んでみてください。
難しいイメージがある変額保険ですが、簡単に説明すると、生命保険と投資信託が一緒になった金融商品です。
投資信託で運用して、お金を増やしながら、万が一の時は保険でお金が支払われるということですか?
運用によって必ずお金が増えるわけではないですが、そんなイメージを持っていただければいいと思います。
メチャクチャいいじゃないですか!
どうしてやめた方がいいと言われるんですか!?
変額保険はやめたほうがいいと言われる理由(デメリット)
変額保険はやめた方がいいと言われる理由は大きく分けて3つあります。
- 元本割れのリスクがある
- 投資商品として考えると手数料が高い
- バブル崩壊で大損した人が多くいる
元本割れのリスクがある
変額保険は特別勘定(投資信託のようなもの)というもので運用するため、運用次第では元本割れが起こります。
変額保険はこの図のように、自分自身で何で運用するかを選択することができます。
つまり、一般的な資産運用と同じで、運用が上手くいけばお金が増えますが、運用が上手くいかなければお金が減り、支払い保険料を下回る元本割れが起きる可能性があります。
一般的に言われている「元本割れのリスク」とはこのことです。
資産運用ですから当たり前の話ですね!
10,000円の保険料の内、運用に回せる金額が7,000円になっていますが、保険料の内訳は基本的に70%位が運用、30%位が保険に回る感じなんですか?
この比率は、加入する年齢によって変わります。
例えば子供と50代の男性を比べると、後者の方が死亡リスクが高いので、保険に回す比率が高くなります。
今回の事例は私の感覚です!
詳しい事は、どの保険会社もこの内訳の比率は公表していないのでわかりません。
投資商品として考えると手数料が高い
これはどういうことなんでしょうか?
よく言われるフレーズなんですが、この手数料に関しても保険会社は公表しておりません。
今回は①変額保険で資産形成、②資産形成と保険を分けて運用した場合の比較をして、変額保険の手数料をみてみましょう。
- 変額保険で資産形成
- 資産形成と保険を分けて運用した場合
①毎月20,000円を変額保険のみで運用したケース
- 毎月の積立額 : 20,000円
- 保険金額 : 9,310,000円~15,890,000円(変動)
- 運用利回り : 6%
- 税引き前運用益 : 8,690,000円
②毎月20,000円を投資信託と生命保険を分けて運用したケース
- 毎月の積立額 : 17,969円
毎月の保険料 : 2,031円 - 保険金額 : 10,000,000円
- 運用利回り : 6%
- 税引き前運用益 : 10,850,131円(投資信託に掛かる手数料等は考慮していない)
②で運用したほうが、216万円近く数字が良いですね。
変動保険金、受取時の税金、死亡時、投資信託の手数料など、全てが同じ条件ではないため、完全な比較はできませんが、一般的に、この差額で変額保険の手数料は高いと言われております。
これなら、②のように資産形成と保険を分けて運用したほうが良いですね。
①の変額保険で運用するメリットはありますか?
もちろんあります。
2021年11月時点では、変額保険に払込免除特約が付いた商品がありますので、資産形成をしながら、3大疾病(がん、心筋梗塞、脳卒中)になった場合は支払い免除になり、以後保険料(掛け金)の支払いが免除されます。
つまり、ピンチになった時は保険会社が代わりに積立てをしてくれます。
それは魅力的!!
攻めと守りを両立したプランでいきたい人は変額保険ということか。。。
バブル崩壊で大損した人が多くいる
日本で変額保険が販売されたのは1986年。当時はバブル初期です。
不動産、ゴルフ会員権、株価は上昇し、日本中が資産を増やそうと、あらゆる分野で投資しているタイミングでした。この財テクブームに乗って、インフレに対抗力を持つ変額保険も大量販売されました。
今では考えられませんが、当時は、地価高騰による相続税対策として、銀行から融資を受けて変額保険に加入するスキームが組まれるほど、負けない投資方法として多く販売されました。
しかし、1991年のバブル崩壊とともに、変額保険の運用ファンドであった、株、不動産の価格が暴落して、多くの加入者が払込保険料を大きく下回り、大きな損失を作り、「変額保険は悪」といった印象がつけられました。
この時代を生きた団塊の世代の方々は今でも同様の印象を持っていると思います。
その後、2001年4月1日に金融商品販売法が施工され、変額保険のように元本割れする恐れのある金融商品は、顧客に対し重要事項の説明義務を負い(金融商品販売法3条1項),その説明義務違反によって損害が発生した場合,損害賠償責任を負うという規定(金融商品販売法4条)が設けられています。
変額保険は長い時間をかけて、ドルコスト平均法で運用する商品です。
多くの人が不安になる、下落相場こそ多くの口数が買えるチャンスです。
相場に一喜一憂することなく、しっかり仕組みを理解した人であればトラブルになることはありません。
【関連記事】ドルコスト平均法とは?デメリット・やり方・銘柄の選び方などまとめました!
変額保険が向いている人とは?
変額保険は特定保険に認定されており、通常の生命保険よりも、商品性が複雑です。
そのため、販売員が、変額保険をご案内するときは、お客様の金融知識、投資経験、保有財産の状況を把握した上で、考えられるリスクをしっかりご理解いただく必要があります。
やった方がいい、やってもいい人
- リスクを保有できる人※損失が出ても容認出来る
- 株式投資・投資信託での運用経験がある人
- つみたてNISA・iDeCoでの運用経験がある人
- 相続対策が必要な人
やらない方がいい、やめた方がいい人
- リスクを保有出来ない人※損失が出る事を容認出来ない人
- 元本保証がないと嫌な人
- 保障はいらないという人
私がお客様の相談に乗っていると、「元本保証」を求める方に多く会いますが、その都度お話するのが、「皆さんが求めている元本保証は数字の保証であって価値の保証ではありません」という話です。
経済が成長するという事はインフレする訳で、政府が掲げている物価上昇率2%が20年続いたとしたら、今の1,000,000円で買えるものが、1,485,947円払えないと買えなくなります。
つまり、このインフレ率に負けない運用をしないと、結果的にお金の価値は減ったということになります。
確かに。。。
今と同じ価値が保証されないのであれば、それは元本保証とは言えませんね。
変額保険と投資信託ならどっちがいいか?「つみたてNISA」「iDeCo」「変額保険」で比較
一部ETFや定期預金がありますが、基本的に「つみたてNISA」、「iDeCo」、「変額保険」の運用は投資信託で行います。
その投資信託(ファンド)を、どの箱に入れて運用するかによって、違いが出ます。
運用するファンドが同じでも、どの箱で運用するかで違いが出るってこと!?
つみたてNISAの特徴
- 100円から始められる
- 利益に税金がかからない
- いつでもやめれる(売却可能)
どんな人に向ている?
- 短期~中期(1年~20年)で運用したい人
- 直ぐに現金化できる投資方法が良い人
どんな目的に合っている?
- 貯金の代わり
- 家の頭金を貯める
- 学資保険の代わり
- 老後資金
関連記事:楽天証券のつみたてNISAの始め方!おすすめ商品・買い方・やり方・シミュレーションなどまとめました!
iDeCo(イデコ)の特徴
- 5,000円から始められる
- 拠出金額(掛け金)が全額所得控除(節税投資が出来る)
- 60歳まで引き出しができない(目的は老後資金限定)
どんな人に向いている?
- 基本的に長期の運用ができる人
- 老後資金を作りたい人
- 税金を減らして貯蓄したい人
どんな目的に合っている?
- 老後資金
- 退職金の代わり
関連記事:楽天証券のiDeCoの始め方!商品・手数料・買い方などまとめました!
変額保険の特徴
- 5,000円位から始められる
- 運用方法を自分自身で決められる生命保険
- 健康でないと購入できない
どんな人に向いている?
- 資産運用と保険を一つの方法で行いたい人
- 老後の資金を作りたい人
- 貯蓄が苦手な人
どんな目的にあっている?
- 死亡保障
- 老後資金
- 相続対策
関連記事:【わかりやすく解説】変額保険とは?「やめたほうがいい」「いらない」と言われてしまうトラブルやデメリットなど、まとめました!
変額保険への考え方
変額保険は、生命保険の中で唯一、運用方法を自分で選べる生命保険です。
「リスクがある」と聞くと怖いイメージを持つ人が多いですが、運用の世界での「リスク」とは、リターンのブレ幅(ボラティリティー)の事を言います。つまり、リスクが大きいという事は「大きな収益を得られる可能性もあれば、大きな損失を出す可能性もある」という事で、全てをネガティブに捉える必要はありません。
特別勘定(投資信託のようなもの)に米国株式や世界株式の代表的な指数に連動するものがあれば、それは世界経済に投資出来る事を意味しており、生命保険の機能を持ちながら、しっかり積極的な運用が出来る唯一無二の魅力的な金融商品と言えるのではないでしょうか。
主な変額保険の会社
これがすべてではありませんが、よく聞く主な変額保険の会社はこちらです。
ソニー生命
アクサ
メットライフ
プルデンシャル
特に払込免除特約の条件などを比較して調べてみてください。
正しく死亡保障を備えよう
「死亡保障はいらない」
生命保険の話をすると”よく聞くフレーズ”ですが、私の経験上、保険金が支払われて「こんなにいらない」と言われたご家族はいらっしゃいません。
死亡保障は必要以上に用意する必要はありませんが、本当に欲しい時には、もう用意ができない商品です。
- お葬式代は誰が支払うのか?
- 高度障害になった時の生活費は用意できているか?
- 余命宣告をうけたら残りの余命をどのように過ごそうか?
大抵の人は「重要であっても緊急性がないと選択しない」という決断をしてしまう傾向にあります。
- 学生にとっての期末試験の勉強
- 飛行機で流れる救命器具の使い方
- 死亡時に残された家族への死亡保障
確かに。。。
学生にとって試験はとても重要なことだけど、「まだ2か月先だし」とか言って事前準備せずに、いつも直前になって焦ってやってました。
飛行機に乗る時は「まさか墜落するわけがない」と思い込んで、あの映像は見ていませんでした。墜落した時にとても重要な事なのに、「まさか墜落するわけがない」と緊急ではないという判断で観てなかった。。。
死亡保障に関しては「僕は死なない」という思いがあり全く緊急性がありませんでしたが、「死亡や高度障害」が現実になった時に死亡保障や高度障害に関する保障はとても「重要」ですね(><)
関連記事:【わかりやすく解説】生命保険とは?種類・相場・選び方や、医療保険との違いについて
まとめ
変額保険は数多くある保険商品の中で、唯一、運用手段を自分で選択できて、運用成果が自分自身に帰属する生命保険です。
投資の知識や経験がある人は、運用成果が自分自身に帰属するなら、変額保険より投資信託で運用た方がいいと思うでしょう。
しかし、2021年11月時点では、3大疾病による払込免除の特約が付加できる変額保険あり、3大疾病になった際は、”老後の資金を保険会社が代わりに積立ててくれる”と、保険でしかできないパフォーマンスがあります。
それに、運用のパフォーマンス=最終的に貯まるお金にはなるわけではありません。
運用中に増えたお金を使わない方が良いと理解していても、時に欲求に勝てず、運用中のお金に手を付けてしまうことがあります。
変額保険は一定期間の間に解約すると解約控除の手数料が引かれますし、解約返戻金が払込保険料の総額を上回るのに少し時間がかかります。
一般的には、このことはデメリットとされておりますが、このデメリットのおかげで解約せず、結果的に一番お金を貯められるという意外な結果を生むことがあります。
私の経験上、多くの人にとって結果的に一番お金を貯められる金融商品は生命保険だと思っております。
そして、その中でも、長い期間加入することを前提としているのであれば、リスクがある、難しいと言う前に、一度、変額保険を検討することをおすすめします。
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