生命保険とは、万が一(死亡・高度障害)があったときに、残された家族に支払われる保険のことで、相互扶助の精神で成り立っています。
生命保険の世帯加入率が88.7%、世界の中でも圧倒的な加入率を誇り、保険大国とよばれ、生命保険と関わりが非常に多い日本人ですが、今回は、生命保険とは?種類・相場・選び方や、医療保険との違いについて解説していきます。
データ引用 → 生命保険文化センター
生命保険とは
生命保険とは、万が一(死亡・高度障害)があったときに、残された家族に支払われる保険のことで、相互扶助の精神で成り立っています。


このように、死亡時に支払われる保険金額は、生命保険に加入している人が納めている掛け金の集合体から支払われています。

生命保険に加入する事は、自分や家族の為だけではく、
見知らぬ誰かの為にもなっています。

自分が使わなければ得しないと思っていたけど、
自分の払った掛け金が、誰かを助けているという事ですか?

はい、生命保険は加入者同士が助け合う仕組みになっております。
まさに相互扶助の精神です。
医療保険との違い
死亡・高度障害のリスクヘッジとして選ぶ生命保険に対して、通院・入院・手術のように療養に対してのリスクヘッジとして選ぶ保険が医療保険です。

生命保険の種類
2020年9月現在、日本にある生命保険会社は42社、販売されている保険の種類は様々な組み合わせを考慮すると、1,000種類を超えます。この種類の多さや、商品構成の複雑さが「保険はむずかしい」という印象をつけておりますが、大きく分けると生命保険の種類は定期保険・養老保険・終身保険と3つしかありません。

実はカンタン!この3つを理解できたら、保険はむずかしくない!
基本的種類と保険に使われる用語を覚えよう!
保険用語の基本
- 保険金:万が一(死亡・高度障害)の時に保障される金額
- 保険料:掛け金のこと ※保険金と勘違いしやすい
- 保険期間:保険金額が保障される期間
- 満期:保険期間が満了する事
- 払込期間:保険料(掛け金)を支払う期間
- 解約返戻金:保険を解約した時に戻ってくるお金の事
3つの保険

定期・養老・終身、全て同じ条件(30歳男性が、保険金額1,000万円、30年間保険料を支払う)で保険を設計してみましょう。
- 年齢:30歳(男性)
- 保険金額:1,000万円
- 掛け金を支払う期間:30年
定期保険(掛け捨て)
保障される期間が定まっており、基本的に掛け捨ての保険です。

3つの保険の中で、最も保険料(掛け金)が安いのが特徴で、満期と同時に保険は終了、戻ってくるお金もありません。
払込保険料総額=3,560円×12か月×30年間で1,281,600円
養老保険(貯蓄型)
定期保険同様、保障される期間が定まっておりますが、定期保険との違いは、老を養うという事で、お金が貯まる貯蓄の保険です。主に学資保険に使われております。

ゼロ金利政策の影響を受け、払込保険料総額が満期保険金額を超えてしまう事から、現在は多くの保険会社で販売が停止されておりますが、学資保険や福利厚生の為の保険(法人保険)としてのニーズがある為、現在でも一部の保険会社で販売されています。
払込保険料総額=30110円×12か月×30年間で10,839,600円
終身保険(貯蓄型)
定期保険・養老保険と異なり、身が終わるまでという事で、唯一、保障される期間がずっと続く特徴のある貯蓄性のある保険です。

2020年9月現在、販売されている貯蓄性の保険はほとんどこの終身保険です。ゼロ金利政策が続く中、払込保険料の総額が保険金額を超えてしまう為、各社、外貨終身、低解約返戻金型の終身保険、変額終身保険の販売を強化しています。
払込保険料総額=30,090円×12か月×30年間で10,832,400円
3つの保険を比較

基本はこの3つです。この基本から少し形を変えたり、色々な組み合わせしたりして、現在、1000種類以上の保険商品が販売されています。

その他の保険

ここでは、3つの保険から形を変えた商品や、みなさんが、よく耳にする商品について解説します。
収入保障保険
収入保障保険は3つの中で分類すると定期保険です。主な特徴として下記があげられます。
- 保険料(掛け金)が安い、掛け捨ての定期保険
- 保険金が毎月〇〇万円と分割して受け取れる

ほぼ同じ保険料で作成した、普通の定期保険が死亡時1,000万円と、一時金で大きなお金が支払われる事に対して、収入保障保険は、死亡時に22万円が満期まで毎月支払われる形になっております。
保険加入時点での分割受け取り保険金額は、22万円×12か月×30年で7,920万円と保険金額が1,000万円の普通定期保険と比べると、保険料に対して、保険金額が高いことがわかります。
満期に近づくにつれて、保険金額下げる仕組みにすることで、普通の定期保険に比べて、安い掛け金で大きな保障を得ることが出来ます。

個人の方が最も安い掛け金で大きな保障を作れる保険です。保険に貯蓄性を求めない方、「保険は掛け捨てでいい」と、割り切れる方はこの保険です。
学資保険
多くの人が、子供が産まれて、直ぐに考えるのが学資保険です。
学資保険の正体はズバリ養老保険です。

学資保険はコツコツと保険料を積み上げることで、何事ともなく月日が流れても、また、万が一があった時も、子供に掛かる教育費を確保するメソッドです。
個人年金保険
名前の通り、自分年金を作る商品です。


保険という名前がついているけど、基本的な機能は貯金と同じで、
生命保険のような機能はない。
保険と貯金の違い(貯蓄ではなく生命保険が必要な理由)
貯蓄性のある養老保険と個人年金で老後資金を貯めた場合の比較をみてみましょう。
- 保険と貯金の違い(何事もなく満期をむかえる場合)

- 保険と貯金の違い(途中で万が一が起きた場合)


違いがわかりました?
保険は四角形(万が一があれば保険金が支払われる)、貯金は三角形(万が一があったときは、その時に貯まっているお金が全て)です。何事もなければどちらもしっかりお金が貯まりますが、万が一が起きた時に、大きな違いが出ます。
生命の相場
生命保険は民間企業が販売する金融商品です。当然、保険会社によって保険料(掛け金)に差が出ます。
特にタバコを吸わない人は、非喫煙型の商品設定がある保険会社を選択すると、安い掛け金で、大きな保障を得られます。
また、生命保険ランキング等のサイトで安い保険会社を選ぶのもいいでしょう。
ただ、各社同じような商品にみえても、微妙に保障内容が異なりますので、完全な比較は難しいという事を理解しておいてください。

保険料(掛け金)が安いという事は、加入者にとってはとても嬉しいことですが、保険料だけで生命保険を選んではいけません。1番大切なことは、万が一が起きた時に、目的を果たしてくれる保険を選ぶことです。
生命保険の選び方
生命保険はリスクによって発生した経済的損失を補填してくれる商品です。つまり、どのような保険商品を選ぶかは、自分自身が抱えているリスクを把握することで明確になります。
リスクと保険
一般的なリスク
- 死亡・高度障害
- 病気(通院・入院・手術)
- 精神的、肉体的に働けなくなる(就労不能状態)
リスクと保険の関係


保険選びが決まったら、必要な保障額を考える必要があります。
実はこれとても重要です!
保険の入り口と出口の概念
- 生命保険の入り口 → 加入
- 生命保険の出口 → 満期・解約・保険金支払い
実は、生命保険を考える上で大切なことは出口戦略です。
生命保険は通常の買い物のように、購入してから直ぐ使用することが出来ない商品です。
生前で使用するときは、満期をむかえ満期保険を受け取る時と、解約返戻金を必要として解約するときです。
一方、保険金として受け取るときは、死亡・高度障害、給付金として受け取るときは、通院、入院、手術です。
ただし、この保険金として受け取れる保険金は、死亡以外のものには条件が細かく決められていることがあり、この条件が厳しいと受け取りたいタイミングで受け取れないことも発生するのです。
出口が広いかどうかも加入時にチェックしておく必要があります。
保険の出口戦略(生きている事を想定)
- 療養資金
- 老後資金
- 教育資金
保険の出口戦略(死亡・高度障害を想定)
- 遺族の生活資金
- 障害を抱えながらの生活資金

保険を設計するときは、出口から考える逆算の考え方が必要になります。特に、死亡・高度障害になる可能性は低いものの、なってしまっては大変です。なってしまった時に、困らないように自分にとって、適正な保障額を準備することが、何よりも大切になります。
受取時に掛かる税金
税金が掛からないケース
- 医療保険から支払われる給付金
- 高度障害保険金
所得税法(施行令第30条第1号)では、身体の傷害を原因として支払われる給付金や、高度障害保険金は所得税が非課税になると定められています。つまり、生きていて大変な時に支払われるお金には税金が掛からないという事です。
疾病により重度障害となった者以外の親族が保険金の支払を受けた場合(国税庁HP)
税金が掛かるケース
- 死亡時に支払われる保険金
- 満期時に支払われる保険金
- 満期時から支払われる個人年金
- 解約時に支払われる解約返戻金
税金が掛かるケースは、契約形態によって、相続税、所得税、贈与税に分かれます。


死亡保険金を受け取ったときの税金(国税庁HP)
満期保険金を受け取ったときの税金(国税庁HP)
個人年金保険金を受け取ったときの税金(国税庁HP)
生命保険に加入するタイミング
健康状態での加入タイミング
生命保険は、金融商品で唯一、健康でないと購入出来ない商品です。
健康状態によって、無条件(1番良い状態での加入)、特別条件(加入は出来るが、保険金額の削減、割増保険料が必要になる)、謝絶(生命保険会社から加入を断られる)と条件が変わります。

上記図は縦軸を健康状態、横軸を時間にした表です。普通の人は、年齢を重ねるにつれて健康状態は少しずつ落ちていきます。

ここで問題です!健康面で生命保険を選ぶとしたらどのタイミングがベストだと思いまか?

ココじゃないですか?


なるほど!無条件と特別条件の境目ですか。
では、下記のように急に健康状態が悪化したらどうでしょうか?


あっ。。。

いくら気をつけていても、健康状態が悪化することがあります。つまり、健康面から生命保険の加入タイミングを考えると、”今でしょ”となります。
お金の面での加入タイミング
終身保険(60歳払込終了)に30歳、40歳、50歳で加入したと想定して、お金の面での加入タイミングをみてましょう。


ここで問題です!一番長い期間、保険料(掛け金)を払うのは何歳ですか?

30歳ですよね!

正解です!
では、支払う保険料(掛け金)の総額が最も高くなるのは何歳だと思いますか?

これも30歳ですよね!

残念!!
実は支払う期間が最も短い50歳が、最も高い総額になります。


実は、お金の面でも、加入タイミングは”今でしょ”となります。
まとめ
生命保険の加入を検討する際に大切な事
- 加入目的をハッキリさせる
- 必要保障額を把握する
- 出口戦略を明確にする
- 一日も早く加入する
2020年9月現在、世界中でコロナ問題が起きておりますが、日本にある多くの生命保険会社は、新型コロナウィルスに感染した人に対しての加入を見送っております。
つまり、誰もが加入資格を失うリスクがあるという事です。
生命保険は重要であっても、緊急性がありません。
”必要のないときに、準備しなくてはいけない商品です”
つまり、もし準備しておかなければ、”必要になった時には、もう準備出来ない”という事になります。
少し似たような現象が、最近起きました。2020年3月~6月頃にかけて、新型コロナウィルス対策で、普段マスクをしなかった人でも、マスクが必要になりましたが、皆さんが必要とした時に、どこのお店でも売り切れて、手に入れることが出来ませんでした。もし、事前に感染リスクの事を知っていれば、マスクを備蓄するなどの対策をとれたかもしれません。正に、新型コロナウィルスは、世界中の人々にとって、万が一の出来事になったという事です。

人は重要とわかっていても、緊急性がないと、先送りにしてしまう傾向があります。万が一が起きる可能性は低いですが、起きてしまってからでは、対策を打つことは出来ません。後悔しないように、しっかり準備してください。
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